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2008年5月12日 (月)

誰か Somebady

最近、時代小説ばかりでした。

山本周五郎。職場の更衣室に置かれたミニ文庫から選んで。”樅ノ木は残った”で有名な、原田甲斐や、”栄花物語”の田沼意次など、日本史では歴史上ヒールと呼ばれる人を別の切り口から語り、年表に現れる二次元の人物から、見事に人間臭さを表現した、悩める理性的な人間として描かれていました。

表題は、宮部みゆきの作品です。

頭を柔らかくして、リラックスして読めるのが彼女の作品の良いところ。

最後まで読み終わっても、表題の意味する”誰か”とは、主人公なのか、不慮の事故で亡くなった過去のある人物なのか、その娘たちなのか、主人公の義父であるのかは分からずじまいでした。宮部みゆきの作品にしては、表題のつけ方が分かりにくかったかなぁ。。。

ある姉妹の、両親の愛情の重さがどちらに多かったかという複雑な嫉妬心が、伏線になっています。

この小説の中でも、蛍光ペンでマークしたくなる、宮部みゆきの珠玉の言葉たちがありました。一部抜粋します。

「山っ気とか野心とかは、薬味みたいなもんだから、あった方が人生が美味しくなる。だけど薬味だけじゃ一品の料理にはならないんだって」

若いときの、故郷に錦を飾るくらいの勢いは、生きる張り合いにはなっても、博打な人生では未来は無いよね。。。

「手に入れたものはみんな宝物だけど、手に入れられなかったものは、もっともっと宝物なんですよ」

安定した家族と家庭。そして恋人も、叶わぬ夢も。

「子供は全ての暗闇にお化けの形を見出す」

小さい頃誰でも、見えざるものに畏れと、過大な恐怖を抱いたことがあるのではないでしょうか。先の見えないもの、こと。子供は想像力が豊かで、目に見えることでしか予測することが出来ないから、なお更に。

以前、大人が待つ15分は、子供にとっては一時間に相当するという話を読んだことがありました。不安が増長すれば、そこにお化けが現れるのですね。

「男と女はね、くっついてると、そのうち品性まで似てくるもんだよ。だから、付き合う相手はよく選ばなくちゃいけないんだ」

言わずもがな。

上手いなぁ・・・。ウンウンと頷いたり、いい得て妙!と膝を打ちたくなる見事な表現。それこそが、彼女の最大の魅力だと思うのです。

稀代のストーリーテーラーが丁寧に紡ぎだした、心揺れるミステリーです。

ご一読をお勧めします。

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