お気に入りの本

2010年10月13日 (水)

阪急電車

阪急電車
文庫になったと新聞広告で見てから、読みたいなぁと思っていました。

読書家の友達が早速読み始め、職場の仲間に貸し出しが始まり、やっと私に順番が回ってきました(^O^)/
嬉しい!

宝塚駅から西宮北口駅迄の今津線の各駅が、物語の舞台です。

物語は、宝塚駅・宝塚南口駅・逆瀬川駅・小林駅・仁川駅・甲東園駅・門戸厄神駅・西宮北口駅、そして、折り返して、宝塚駅で終点。

往復しても30分程の路線に、人生のエッセンスが詰まったホッコリするお話が繋がっています。

ページを繰るのがワクワクするほど面白かった!

作者は沿線に住んでいたらしく、駅や沿線から見える風景の描写が実に細やかで、今津線に対する愛着を感じました。

実はわたくし、西宮北口駅にしか降り立った事がないのです…
いつかきっと生で宝塚歌劇団を見に行く日があれば、今津線を利用する事もあるかとは思うけど…

乗った事のない路線ですが、すっかり親しみを感じてしまいました。

来年には映画化されるんですね。
各駅での撮影も、もちろんあるんでしょう。

主演が中谷美紀、ってことは、仇討ちを果たす翔子か、読書家で酒豪のユキか。
う〜ん、楽しみ(^m^)

楽しい出逢いが詰まった阪急電車。
私みたいに乗る機会のない方も、ぜひ読んでみて(^-^)
一緒に出発進行〜!

2009年5月17日 (日)

輪違屋 糸里

”壬生義士伝”が男の側から見た幕末と新撰組の話なら、”輪違屋 糸里”は、京都の女から見た新撰組のお話。

壬生義士伝”は、私と同じ奥州(東北)出身の盛岡藩下級武士が新撰組の仲間となり、故郷に置いた家族を偲び、武士としての”義”を家族有らばこそ(職業としての)として、死んでいった切ない話でした。

でも、泣くほどではなかった。

しかし、”輪違屋 糸里”には泣かせられました。。。浅田次郎の、読者の涙腺を刺激する文筆はやはり素晴らしい!!

京都は島原の置屋”輪違屋”の傾城糸里の美しさと賢さと情の深さ、女としての誇りが物語の核です。

新撰組を題材にした話では、悪者と扱われる 芹沢 鴨。浅田次郎は、極悪非道な乱暴者としてだけの描写ではなく、本物の武士の姿を芹沢 鴨に写していました。

愛する糸里をも保身の為に利用し、最後は切り捨てようとした土方歳三。糸里に己の一番痛い所を論破されて、手も足も出なかった最後の描写は胸がすくおもいでした。

新撰組をはじめ幕末の混乱期の多くが小説となっていますが、よっぽど歴史が好きでないと、登場人物が多すぎて好みが別れるところです。大河ドラマで高視聴率を獲得したこともあり、だいぶ身近にはなってきたようですが。

土方歳三の策にはまり暗殺された芹沢 鴨。愛人お梅だけは彼の孤独や寂寞感を共有できました。

同じく暗殺される平山五郎を愛する桔梗屋の吉栄の切なさと女心。。。

我慢と苦労を背負う女に生まれて、損をすることの方が多かった時代において、女は刃ではなく女の道理で世間の荒波と戦ってきたのでした。

芹沢 鴨暗殺という新撰組内の大事件と、島原の芸妓糸里が太夫上がりをする両クライマックスは、一寸先は闇の不安定な幕末において、どちらもが真実です。

                                                        

この本を読んで、目から鱗の違いを知りました。

江戸の吉原と、京都の島原。どちらも東と西を代表する歓楽街ではありましたが、吉原芸妓の最高呼称は花魁で、島原は太夫。映画の”吉原炎上””陽暉楼”などがイメージにあり、花街と呼ばれる場所は、全て春をひさぐ場所と思っていたのです。

しかし、島原の芸妓最高位の太夫は、畏れ多くも朝廷から五位の位を賜り、禁裏にも呼ばれるほどの身分なのです。背景に御所や位の高い地位のお屋敷もあり、やんごとなきお人からの逢状の付け届けのある、庶民からは遠く手の届かない存在。

そう、芸は売っても色は売らないという違い!目から鱗!

吉原が高級風俗店とすれば、島原は高級クラブ。。。?

                                                       

新撰組が逗留した壬生の八木家は、保存されて見学することができます。題名となった”輪違屋”も島原に現存しており、現在一階はバーとして営業しているそうです。

京都の魔界ツアーも楽しかったけど、島原から見た新撰組の足跡を辿る旅も面白そうです。なかなか同志を募るのが難しそうですが。。。

2009年1月17日 (土)

太陽のあたたかさって素晴らしい!

晴れても気温が低い日々が続いていましたが、今日は晴天で暖かい!

週末にこんな良い天気だと気分も爽快です。

久々に布団を干して、洗濯物を干して。ベランダは満艦飾よろしく、干し物がはためいています。

風邪予防に、洗濯物をずっと室内干しにしていました。それでも丸一日で乾くから、室内は乾燥しているのでしょう…エアコンのリモコンで湿度を測ってみると、低い日は45%。洗濯物を干して、やっと55%。しかしこの冬は、家族の誰もが風邪をひいてないので、少しは役に立っているのかも。

室内干しは生活感丸出しで、本当はすっごくイヤなんだけど、冬の風物詩?のひとつになってしまいました

陽射しがサンサンと降り注ぐと、昔人が太陽を崇め、神として崇拝した気持ちも非常に良く分かる気がします。

太陽神アポロン、天照大御神、そして古代の皇帝も太陽の象徴と崇められていたし。。。

坂東眞砂子のホラー小説が好きでよく読んでます。

最近読んだ「蛇鏡」では、日本古来の土着神信仰から、異国から伝わった太陽神への信仰の変換が、歴史をより複雑な形にしていったのではないかとの一説がありました。

土着神信仰の間、歴史は長く変わることがなく、穏やかな時間が流れていたことでしょう。縄文時代が一万年ほど続いたのに対し、外国からの文化が入り始めた弥生時代から現代までの歴史は、ほんの数千年。

このとき、信仰は外来からの影響色強い太陽神或いは天上の神へと変わったのだそうです。

もともと、万物に神が宿るとした日本古来の信仰は、大地に対する敬謙な想いが深かったようです。

大地の神の象徴が”蛇”。縄文土器の”縄文様”も、蛇を模ったものではないかという一説もあるらしい。

ヤマタノオロチ然り古事記では、蛇などに代表される土着の神が、邪教の扱いをされているのは、日本を中央政権に支配しようとした征服者側の都合の良いお話。。。ちょっと言いすぎかな

・・・主人公が家の蔵で見つけた古ぼけた鏡にまつわる伝承が、密かに、静かに、人々の運命を狂わせ、そして蛇神の蘇りへと導いていく。

民俗学的、神話的な背景の濃い坂東眞砂子のホラー小説は、湿った空気をまとい、背中にヒヤッとした気配を感じるような異空間にスリップできて、面白い!

ホラーの映像が苦手ですが、想像が幾重にも広がる小説は、ひたひたと恐怖が押し寄せても、残像が残らないのがいいのです。

「死国」 「狗神」 「山妣」 他に短編集も幾つか。

こんな晴天の穏やかな日こそ、ホラー小説を読むには打ってつけなんです。

さっ、家事をやっつけてバレーに行ってこよっと(* ̄ー ̄*)

2008年9月28日 (日)

その日の前に

415qpfmyorl__ss500_ 重松 清 の文春文庫からの新刊。

死にゆく妻を見送る父と子らを中心に、それぞれの中にある生と死を、そして日常の中にある幸せの意味を見つめる連作短編集。

後半は、”その日の前に”、”その日”、”その日のあとで”と短編が連結された構成になっています。前半の短編が独立したお話かと思っていたら、表題の短編に全て絡んでくるという構成。

突発的な事故や事件で家族が突然目の前から居なくなるのではなく、病気の告知によって、遠くない”その日”に向かう、それぞれの家族と本人の在り様。

重松氏はあとがきに、「生きること」と「死ぬこと」、「のこされること」と「歩き出すこと」をまっすぐに描いてみたかった、と語っています。

三編までは、通勤の友に読んでましたが、退屈な日曜の今日に、後半を一気に読み上げました。。。家で読んでよかった。。。

涙でTシャツの襟元が濡れるほど泣きました。。。メガネのレンズは、目からほとばしる涙と目脂?で読みにくいほど。。。

春に亡くなったサイトウさんとだぶってしまい、読みながら何度秋空を見上げたことでしょう。

重松氏の描く家族をテーマにした小説は、飾らず屈託がなく、身近でどこにでもいる普通の家族の喜怒哀楽を、「生と死」という重いキーワードを中心にして展開してるにもかかわらず、読んだ後に胸の中に爽やかな風が吹き込む感じがします。

”その日の前に”も映画化が決定し、11月に全国で観られるようです。

文庫本の広告の帯に、主演の南原清隆と永作博美の映画のワンシーンが載っているんですよ。

読む前に、主人公たちのイメージが頭に刷り込まれるようで、はっきり言ってがっかりでした。

読みながら、想像したいじゃないですか。こんな女性であって欲しいとか、こんな旦那さんだろうな、とか。

中学生と小学生の子を持つお母さんにしては、永作博美は若く見えすぎるもんなぁ。。。

映像は、なかなか原作を超えられないと思うんです。勿論、映画化されて、原作がもっと生き生きと蘇るような作品もあるけど。

余談ですが、”壬生義士伝”も、”メトロに乗って”も、浅田次郎氏の作品なんかは、映像よりも小説として読んだ方が心に深く沁みました。

映画はどんな作品になってるんでしょうか。

観る前に、読んで正解かな。いえ、今日のこの満足感でもう充分かも。

私の頭の中で膨らんだ主人公たちの「歩き出すこと」を想像して、”その日の前に”は完結しました。

映画はきっと観ないと思うけど、でも観た人の感想も聞きたい。そんな気もします。

2008年5月12日 (月)

誰か Somebady

最近、時代小説ばかりでした。

山本周五郎。職場の更衣室に置かれたミニ文庫から選んで。”樅ノ木は残った”で有名な、原田甲斐や、”栄花物語”の田沼意次など、日本史では歴史上ヒールと呼ばれる人を別の切り口から語り、年表に現れる二次元の人物から、見事に人間臭さを表現した、悩める理性的な人間として描かれていました。

表題は、宮部みゆきの作品です。

頭を柔らかくして、リラックスして読めるのが彼女の作品の良いところ。

最後まで読み終わっても、表題の意味する”誰か”とは、主人公なのか、不慮の事故で亡くなった過去のある人物なのか、その娘たちなのか、主人公の義父であるのかは分からずじまいでした。宮部みゆきの作品にしては、表題のつけ方が分かりにくかったかなぁ。。。

ある姉妹の、両親の愛情の重さがどちらに多かったかという複雑な嫉妬心が、伏線になっています。

この小説の中でも、蛍光ペンでマークしたくなる、宮部みゆきの珠玉の言葉たちがありました。一部抜粋します。

「山っ気とか野心とかは、薬味みたいなもんだから、あった方が人生が美味しくなる。だけど薬味だけじゃ一品の料理にはならないんだって」

若いときの、故郷に錦を飾るくらいの勢いは、生きる張り合いにはなっても、博打な人生では未来は無いよね。。。

「手に入れたものはみんな宝物だけど、手に入れられなかったものは、もっともっと宝物なんですよ」

安定した家族と家庭。そして恋人も、叶わぬ夢も。

「子供は全ての暗闇にお化けの形を見出す」

小さい頃誰でも、見えざるものに畏れと、過大な恐怖を抱いたことがあるのではないでしょうか。先の見えないもの、こと。子供は想像力が豊かで、目に見えることでしか予測することが出来ないから、なお更に。

以前、大人が待つ15分は、子供にとっては一時間に相当するという話を読んだことがありました。不安が増長すれば、そこにお化けが現れるのですね。

「男と女はね、くっついてると、そのうち品性まで似てくるもんだよ。だから、付き合う相手はよく選ばなくちゃいけないんだ」

言わずもがな。

上手いなぁ・・・。ウンウンと頷いたり、いい得て妙!と膝を打ちたくなる見事な表現。それこそが、彼女の最大の魅力だと思うのです。

稀代のストーリーテーラーが丁寧に紡ぎだした、心揺れるミステリーです。

ご一読をお勧めします。

2008年4月17日 (木)

立ち読み

休みの今日は、近所の本屋で立ち読み三昧。

さくらももこの”ひとりずもう上下巻” ちびまるこちゃんもほぼ全巻あります。内気なさくらももこの青春時代の思い出話として、あんまりパッとしない単行本でした。平凡以下のマイナーで内気な女子高生が、いかに漫画家になる時のインスピレーションがあったかというところだけが、盛り上がる箇所かなー。

”ダーリンは外国人”。これはねぇ、結構面白い。ベイビーが出来た事で、また新たなネタが出来て、赤ちゃんを一個人としてみてるとこが自分と重なって興味深かったりして。

坂東眞理子の”凛とした女性の基礎力”。”女性の品格”でベストセラーになったけど、個人的にはいちいちウンウンうなずけない。

だって、当たり前のことしか書いてないんだもん。東大卒がなんぼほどのもんだってのよ!学歴あるから、女性として完璧だとは限らないんじゃない!?

内容は、当たり前の大人の知識としての事柄が殆ど。時代が求めるのか、今の若い子に足りないのかが知れないけど、わざわざ知らしめるほどの事じゃないんじゃない?ってのが素直な感想。負け惜しみ?いえいえ、そんな著名人と張り合うつもりは毛頭ありません。ワタクシ個人的な意見としてね。

最近、時代小説ばかり読んで片寄って?いたから、話題の作品を選んできました。

”償い”矢口敦子著のミステリーの傑作。

映画のホラーは超苦手なのに、小説のホラーは結構好きです。

”黒い家”も面白かったので、似たような路線の?”禍家”。ざっと開いただけで、テンション上げないと読めなさそうな気がして、買うのを止めました。

こういうのは、心が平安でないと読めないのよね。

あぁぁ~・・・楽しみな夜が続くわ。

2007年10月29日 (月)

あかんべえ

新潮文庫から出ている、宮部みゆきの作品は全て読破。

人情だけでは終らない、ファンタジーや超能力、オカルトチックな要素もふんだんの、宮部時代物作品が大好きです。

【あかんべえ 上・下】

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霊感のある料理屋の娘と、店に居つく「オバケさん」を巻き込んだお話。

人の欲と邪な心が業となり、魂が怨念と化して鬼になった亡者は心底恐ろしいけど、一番怖いのは生きている人間。。。

意地の張り合いから妬み嫉み、兄弟の確執、横恋慕。それにお金が絡んだら、世の中は生きている亡者だらけ。

この世とあの世の亡者達を、料理屋の娘おりんちゃんが、心優しい「おばけさん」たちと協力して浄化していきます。

最後は「オバケさん」達の西方浄土への旅立ちで、クライマックス。

ドロドロとした大人の世界に躊躇しつつ、自身の出生の秘密にも心に影を落とすことのない、澄んだ瞳を持つ少女少年を描くのが、宮部みゆきは本当に上手です。

途中、自分の胸に手を当てて己を考えてしまう場所もあり、読むのが怖くなる部分もあったけど。。。

最後はいつもの日常が戻って、前向きな明日が始まる予感で終ります。宮部みゆきの作品だから、ハッピーエンドで終わるだろうという予測の元に読んでいるので、深夜の読書も安心なのですが。

幽霊の見える人と見えない人。このお話の中でその違いは、「オバケさん」と同じ心のオリを持っているかどうか。。。

・・・ぞっとします。

兄弟の確執がある人は、それが原因で亡くなった亡者を目にし、邪な恋愛が絡めば、その亡霊を。親の顔を知らない子供は、孤児の亡霊を。

艶やかで、いつも良い匂いのする髪を櫛巻きにしている、三味線を抱えた女幽霊。生前はさぞかし小股の切れ上がった良い女だったことでしょう。

「おみつ」さんだけは見えないといいな。。。

2007年10月23日 (火)

あかるい箱

『みんなが何かを待っている。気持ちがあふれて海になる。』

5169rddwzwl__ss500_ 江國香織の大人のファンタジー。宇野亜喜良の描く女性は、クリムトの絵を彷彿とさせます。

派遣の若い友人が、「これはね、コワーイ絵本なの」と貸してくれました。

                                             

『私が待っているのは、転校した前の学校で、大好きだった男の子からの手紙の返事。でも、待っても待っても届きません。

お隣には、リリコさんという若くて綺麗なお姉さんが住んでいます。リリコさんの部屋には、色んな”待っている”人たちが遊びに来ます。

リリコさんが待っているのは、もうずうっと前に出て行った恋人。

リリコさんの部屋にいる待っている人々は、他の人たちには見えません。

リリコさんの部屋には時間の感覚が無く、想いが偶像化します。

待っている人たちは、待ち望んだ事が起きないと、何処へもいけず何処へも戻れないのです。

私に待ち望んだ手紙の返事が届いた時、リリコさんのお部屋はからっぽでした。』

以上が大まかなあらすじです。

                                                        

一つの恋が終わる時、自分への戒めとしてこの本を読むんだとか。リリコさんにならないために。

コワイけど、この本で救われた、と。

お話の内容はかなり抽象的で、一度読んだだけでは私の中には入ってきませんでした。

たぶん、この絵本がすっと心に響かなかったのは、私がシアワセと自分で感じているからかもしれませんね。

恋は(待つのは)楽しいけど、苦しい。

自分が何処へ行くのか。

待つことに疲れ、自分の足で出て行ける事に気が付いた時、リリコさんはあの部屋から一歩踏み出せるのでしょう。

でも、待つことは甘美。傷つかなくて済むから。

きっとリリコさんは時間の海に囚われて、甘美な波に翻弄されることを望んでいるのかもしれませんね。

リリコさんにはなりたくないけど、私も(誰でも)何かを待ってるんだと思います。

2007年9月21日 (金)

ミニミニ文庫

職場の更衣室に、昨日から何故かダンボールに入った文庫本が置かれていました。ちょっとした衣類や小物なども。

フリーマーケット??

欲しい人は貰ってちょうだいって言うけれど、ガラクタばかりで近くで眺めて皆苦笑い。

今日になったら文庫本だけ段ボール箱に並べられて『自由に読んでください。気が向いたら戻してください。』の張り紙が。

さっそく、高村薫の”照柿”上下巻を借りました。重くて読みにくいと評判の高村薫。これは一度図書館から借りて、読む前に返却期間が過ぎて、読まずに返したことがあります。今度こそ読破しよう。

今日やっと、浅田次郎の”プリズンホテル”夏・秋・冬・春”、全四巻を読みきったところ。一巻目の”夏”以外を友達から貰って、一巻目が無くてずーっと手をつけていなかったのだけど、立ち寄ったジュンク堂で一巻目を購入したら、あっという間に全四巻まで読みきってしまいました。

私の好きな”きんぴか”シリーズの【血染めのマリア】が登場するのも面白い!男くさい任侠の世界を、コミカルだけどみんな真面目に生きている人々として描いているのも、とっても愉快。7歳から感情が止まったままの性格破綻者の小説家は、切なくて優しくて。

電車の中で、一人肩を揺らして読み耽っていました。

”照柿”の他に、”見上げれば、星は天に満ちて ― 浅田次郎編”も借りました。今日の仕事の帰りに電車の中で開いてみましたが。。。日本文学集作選、というだけあって、そうそうたる純文学の大家の著名な作品集でした。

。。。初選の、森鴎外で破れました。。。よ、読めない。。。漢字が多く、表現が重々しくて、難しすぎる!一行を数回読んでいるのに気がつき、読むのを諦めました。仕事帰りの疲れた頭には、ハードすぎて難解でした。

森鴎外を飛ばしても、次は耽美派の谷崎潤一郎!よ、読めるかな・・・!?

2007年5月17日 (木)

小さな古本屋で

職場のビルの三階に、大きな古本屋があります。広くて大雑把に陳列されていて、綺麗とはいえない環境。目ぼしい本を探すのが大変で、二回ほどしか足を踏み入れたことがない。

二階にも、小さな古本屋がありました。画材やフレームのお店が大きく巾を取り、つい最近までその古本屋の存在に気がつかなかったのです。

店の外に、105円均一や175円均一の文庫が並んでいて、お昼休みにちょこっと覗くのにちょうど良い。

通勤での読書タイム用に、お手軽に読めそうなものを二冊。

花村萬月の『重金属青年団』と、伊集院 静の『白秋』

『重金属~』は、バイク乗りには堪らないであろう、スピードとテクニックとメカの専門知識がこれでもか!というほど描写されていて、私にはお腹いっぱい。バイオレンスはさすが花村氏、背筋が寒くなるほどの現実味があって、日常からかけ離れたアンダーグラウンドの世界。

歪んだ愛情で育ったり、家族の温かみを知らない、”欠けた”部分を持つ彼らが、友達という関係より、家族のような不思議なまとまりになっていく。個々の個性は強烈で、他人とあいまみえない人たちが、自分の欠けた部分を仲間によって埋められていく。。。読んだ後に暗い気分にならずに、珍しくハッピーエンド?に終ってホッとしました。

伊集院氏の『乳房』は本屋で立ち読みで読破した記憶があります。確か、若き日の夏目雅子を主人公にした短編があったはず。見つけたら、これも読み返してみたい一冊です。

『白秋』は二日間の通勤の行き帰りで読み切りました。最後はおそらく尊敬する華道家元の、かつての恋の行く末と同じになるのでは、と思っていたらやはり。。。一気に引き込まれました。嫉妬の恋情に自分を見失い破滅していく、”志津”の内側からの描写が淡いなーと思ったら、それは最後の爆発に向けて、だったのね。

《あとがき》にある 「人と人が出逢うことは怖いくらい偶然が重なるもんですね」

本当に。そのとおり。。。

                                                      

昨日の帰りの地下鉄で、ラッキーなことに座れたら、読み耽って終点まで行ってしまいました。酔っ払って半分居眠りして乗り過ごしたのは一回。起きてて乗り過ごしたのは、これで三回目です。。。あっ!と気が付くと降りる駅を過ぎている…

立ってれば大丈夫なんだけどな。

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